妊娠しやすい女性は流産もしやすい?|枚方市樟葉 はやし鍼灸整骨院

昨日、ご新規で来院された不妊鍼灸の患者さん。

年齢は30代後半、ご結婚後約1年間で3度妊娠されるも、いずれもご出産には至りませんでした。

その後、不育症専門の病院で一通りの検査を受けられましたが、結局はっきりとした原因はわからなかったそうです。

問診でこのようなお話を伺い、「年齢なども勘案すると、もしかしたら他の方に比べて妊娠しやすい体質なので流産も多くなるのでは?」というようなお話をさせていただきました。


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1950年に海外で発表された論文に、【super-fertility】という概念が紹介されています。

これは「妊娠しやすい(し過ぎる)」というような意味で、正確な和訳はわかりません。


女性の妊孕能について1727人の統計を取ると、

・正常妊孕能 →79%
・不妊症 →18%
・super-fertility →3%

という結果が出ました。(これは当時のものですので、現代においては大きく比率が変わっている可能性があります)


一般に、正常妊孕能のカップルが1ヵ月で自然妊娠する確率は約20%、それに対して女性がsuper-fertilityのカップルの妊娠率は約60%と言われています。

60%といえば驚くべき高確率ですが、一方で、super-fertilityの女性は妊孕力も高いが流産率も高いということがわかっています。

つまり、正常であれば自然淘汰されるべき受精卵が着床・継続し、その結果流産となっている可能性があるのです。


このように、原因不明の習慣流産の中には、super-fertilityに関連する症例がかなりの割合で含まれていると考えられます。

一説には、super-fertilityは「受精卵が継続できるか否かを選別する子宮内環境や免疫機構の欠如」が原因であると指摘されています。

そのようなことから、「子宮内環境の改善」や「免疫系の賦活」、「自律神経の調整」なども含めて、原因不明の習慣流産に対して鍼灸治療でサポートできることは少なからずあるものと考えています。


参考文献:不妊症・不育症治療 希望に応える専門外来の診療指針(メジカルビュー社)



追記
この患者さんは治療開始1周期目に妊娠され、妊娠中も定期的に鍼灸治療を継続して2019年6月に元気な女の子をご出産されました。