【第二度無月経の症例】鍼灸で身体を整える|枚方市樟葉 はやし鍼灸整骨院

最近の症例。


年齢:28歳

主訴:第一子出産後1年4か月(卒乳後4か月)、未だ月経が戻らない。第二子希望。


先日、某大学病院を受診し、卵巣機能が低下していると言われた。

病院ではあと2か月間、薬なしで様子をみるとのこと。

<第一子妊娠前から婦人科にかかられており、PCO・右チョコレート嚢胞と診断されている。子供が欲しいのであれば早めの妊娠・出産が望ましいとの指導を受けていた。>


鍼灸治療開始。

タイミングが良かったのか、初回治療2週間後に月経が再開。

ご希望により一旦治療中止。(治療3回)


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3か月後再来院。

結局次の月経が来ず、薬でリセットしたとのこと。

その後不妊専門病院へ転院、第二度無月経と診断される。


薬を使った排卵誘発開始。

1周期にクロミッド×5d、自己注射も含めて10回超の注射を行うも、排卵までに30日ほどかかった。

この時点で、注射による過度の刺激を繰り返すと、卵巣機能が著しく低下するということを説明。

本人は次の周期、初めから注射で試してみたいとのこと。

鍼灸治療中止。(治療2回)


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3か月後再来院。

前回後、次の周期に注射で排卵誘発するも妊娠に至らず。


「身体を整えること」を目的に、定期的(週1回)に鍼灸治療開始。

4週間後、久しぶりに薬を使わずに月経が再開する。


・1周期目(薬なし) →d19の時点で卵が10mm以上育たずリセット。

病院で体外受精を勧められる。

当院では「とにかく薬が効く身体にしなければならない」という治療方針を説明し、現状を測る意味でクロミッドだけを使ってみては?というお話をした。


・2周期目(クロミッド) →クロミッドに反応し、少し時間はかかったが排卵。AIHするも妊娠に至らず。


・3周期目(クロミッド+注) →クロミッド×5d、注射×1、d16にAIH。その後妊娠反応(+)


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不妊鍼灸における「身体を整える」は「=薬を使わずに自然妊娠を目指しましょう」という意味ではありません。

状況次第で薬は絶対に必要なものですし、もちろん体外受精による治療が必要なケースも多々あります。

ただ、身体が薬にうまく反応できていない状態での薬による過度の刺激は、心身ともに疲弊するばかりでなかなか思うような結果が得られません。

これは自然妊娠であっても体外受精であっても同じことで、長期にわたって強刺激の薬物治療が行われた結果、【薬による強刺激→卵巣機能低下→卵子が育たない→更に薬量を増やしての刺激】というような悪循環に陥るケースが多いのです。


今回のケースでは、月経がしっかりと戻っていない状態で、注射による強めの排卵誘発が行われていました。

【月経が来ない≒排卵していない】ということを考えると、その状況下で無理やり卵胞を大きくしてみても、結局のところ中身のない空胞であることが多いように思います。

鍼灸治療を継続的に行っても完全に月経が整わないケースもありますが、少なくとも薬に反応できる状態にまでもっていくことができれば、その先は意外となんとかなるものなのです。


患者さん、そして我々に共通する大目的は「できるだけ早く赤ちゃんを授かること」。

鍼灸治療による心身へのサポートはもとより、そのために必要な近道を患者さんと一緒に考えることも我々の仕事です。

高速道路でアクセル踏みっ放しになっている患者さんに、たまには下道を走りながらゆっくりと景色を眺める余裕を与えることも、時には必要なことなのです。