凍結融解胚移植のメリットデメリット|枚方市樟葉 はやし鍼灸整骨院 

現在では凍結融解胚移植をメインに行っている病院が大半ですが、あらためてそのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。



・凍結融解胚移植のメリット

凍結融解胚移植とは、採卵後、受精・培養した胚(初期胚~胚盤胞)を一旦凍結してから、あらためて別の周期に融解し移植をすることです。

採卵周期では、排卵誘発剤などの影響で子宮内膜が十分に育たないことが多く、また身体への負担も大きくなります。

このことから、採卵を行った次の周期以降にあらためてホルモン調節をして子宮の環境を整え、着床時期(implantation window)に移植をすることで妊娠率の向上が期待できます。

また、アメリカで2016年に出された論文によると、そもそも体外受精の妊娠率は白人に比べてアジア人は低いのですが、凍結融解胚移植においては同等である、という統計があります。

これは様々な条件が絡んでのことですが、結果的にアジア人にとって凍結融解胚移植に優位性があるのであれば、素直にメリットとして捉えてもよいと思います。



・凍結融解胚移植のデメリット

一方で、デメリットと言うよりも留意しておかなければならない点があります。

それは凍結・融解という行為が胚にとってストレスになるということです。

特に高齢の方など、卵の質が低下してくるとその影響が大きくなります。
胚が凍結に対して弱くなり、融解時に崩れてしまったり孵化しにくくなったりすることがあります。

このことから、高齢の方や卵が採れにくい方には、子宮内膜が薄くなりにくいフェマーラやhMG注射を使ってできるだけ自然周期に近い形で採卵を行い、その流れで新鮮胚移植をすることがあります。

(同じく卵にかかるストレスを少なくするという意味では、精子が元気な場合は顕微授精よりも体外受精の方がその負担は少なくなります。)

(胚の培養に関しても、現在では胚盤胞まで育てることが主流になっていますが、なかなか胚盤胞まで育たない方が初期胚新鮮胚移植をすると着床するケースが少なからずあります。理由は定かではありませんが、体外で培養するよりも子宮内の環境の方が胚にかかる負担が少ないのかもしれません。)


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このように、凍結融解胚移植は大変メリットの多い治療法ですが、年齢や治療状況に応じて臨機応変に移植方法を選択する必要があります。

そしてそれは【凍結胚・新鮮胚】の選択だけではなく、【顕微授精・体外受精】、【初期胚・胚盤胞】の選択においても同じことが言えます。